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“未来”を感じさせる電子小説「Gene Mapper」感想・レビュー

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「インターネット崩壊」が過去に起こった大惨事として語られますが、若干この部分は説得力に書けるかなと感じました。検索エンジンサービスが暴走し、数千万台のサーバーが数十億台のコンピュータを次々とアップデートしていってインターネット崩壊に繋がったとあります。

ですが、それにともなって起こるネットワーク負荷や一時的にスタンドアロンになっているであろう端末(誰もが一日中パソコンを使っているわけではない)、バックアップなどを取っているコンピュータの存在を考えると、崩壊につながるかどうかは微妙なところ。

最悪クライアントは再セットアップすればいいだけですし、これが「インターネット崩壊」につながるかどうかと言われると説得力が弱い。大規模なクラウドのシステムが崩壊したとしても、それがインターネットの崩壊とはつながらないのでは?

とはいうものの、この「インターネット崩壊」は作品の中での重要なファクターになっているので、ここを変えるのは難しそうです。そもそもインターネットは「核戦争にも耐えられる通信システム」を目指して作られたため、相当なことがないとインターネットを崩壊させることは難しいと思います。

なので、「インターネット崩壊」に関しては深く考えず作品の設定として素直に飲み込むことが作品を楽しむ上で重要になるのかなと思います。

終盤の畳み掛けるような怒涛の展開には驚きました。

現実と拡張現実で繰り広げられる、敵味方入り乱れた激しい攻防は読みながらドキドキしました。

最初から最後まで、ストーリーの引き伸ばしや中だるみがなく、常に息つく暇もなく話が展開していきます。なので、だらだら読んだり、何かしながら読んだりするのはおすすめできません。「ハイスピード・ノベル」の看板に偽りなしでした。

作品中の登場人物、黒川さんは作品中の重要な要素を多く含んでいるために、読了後に多くの人の心に残るキャラクタになるのではないかなと思います。

描かれる技術の二面性

拡張現実が仕事の効率化や情報共有の方法として便利であると描かれる一方で、拡張現実が覆い隠している現実(本当の相手の状態がわからない状態)も描写されていました。

遺伝子工学に関しても、「蒸留作物」が無くては飢饉があった時代に逆戻りし食料の生産性が下がってしまうと書かれていますし、「蒸留作物」は完璧なものではないとも書かれています。

つまり、技術に関して良い面、悪い面両方書かれています。そして、それによって技術を良いものとも悪いものとも描いていません。

遺伝子工学が効果的な問題の解決になる可能性もあり、テロに悪用され取り返しの付かない社会問題を起こしてしまう可能性もある訳です。

エピローグでは、そういった事実を目の当たりにした主人公(林田)に黒川さんが声をかけます。