放射性廃棄物の問題を考える映画『100,000年後の安全』が無料公開中
東京都知事選挙で、なぜか選挙の争点として浮かび上がってきた「脱原発」。都知事が関わるべき仕事なのかはさておき、東日本大震災の福島の原子力発電所の事故以後、原発が抱える問題は以前より関心が高まっています。
国会議員の中でも、脱原発派と原発存続派に分かれています。小泉元総理は脱原発の細川護煕元首相を応援していますね。
その小泉元首相が「脱原発」に転換するきっかけとなった『100,000年後の安全』という映画がYouTubeで期間限定で無料配信されています。
放射性廃棄物の処理の難しさを考える映画
映画『100,000年後の安全』本編をYOUTUBE無料配信 – 2014年1月22日(水)正午12時~2月10日(月)正午12時
2014年1月22日正午12時から2月10日の正午12時まで、日本語吹替版がYouTubeにて公開中です。すでに20万回再生されています!
79分ほどの映画ですが、私も最後まで鑑賞しました。
フィンランドに現在も建設されている放射性廃棄物の最終処理施設「オンカロ」をテーマとした映画です。
原発を稼働させることで生まれる放射性廃棄物の危険性を感情的に訴えるのではなく、いかにその危険な放射性廃棄物を放射線が出なくなる10万年後まで安全に保管することがいかに困難であるかを科学者や専門家が淡々と語っています。
放射性廃棄物の問題は原発賛成派、反対派に限らず、全ての人類が向き合わなければならない問題ととらえているところがいいですね。
放射性廃棄物を地下に埋めても安全なのか
過去100年間の間に、人類は2度も戦争を起こし、多くの災害も経験してきました。
地下に放射性廃棄物を埋めたほうが地上で保管するより安全であることは間違いありません。しかし、地下に埋めたとしても100%の安全を保証できないでしょう。
過去に人類は1万年以上持ちこたえた建造物を作ったことがなく、放射性廃棄物を10万年保管できる施設はもちろん前例がありません。「オンカロ」が成功すれば、人類史上もっとも長く残った建造物となります。
しかし、「オンカロ」を残していくことは簡単ではないようです。
数万年後の人類は同じ言語を話すとも限りません。「ここは危険だ!」というメッセージを残していても。後の考古学者が放射性廃棄物の最終処分場だと気づかず開けてしまうかもしれません。人類最大の敵は「好奇心」なのかもしれません。
たとえ、「オンカロ」が10万年後まで無事だったとしても、この施設が処分できる放射性廃棄物は地上にある内の一部です。全ては処理できません。
原子力発電は永続できない発電方法です。資源であるウランがなくなれば、続けることが出来なくなります。そして、生まれた使用済み核燃料は10万年先まで人類を脅かし続けます。
未来がどうなるかは分かりませんが、10万年後の人類がこの映画を観た時、21世紀の人類はなんて無責任なんだと感じることは間違いないでしょう。