『マリオカート ワールド』はマリオカートシリーズの〝味変〟ゲーム

Nintendo Switch 2も発売から8ヶ月以上が経ち、店頭に並ぶ機会が増えてきました。私はマリオカート ワールド セットのNintendo Switch 2を去年の末頃に手に入れたので、『マリオカート ワールド』を年末年始に遊びました。
『マリオカート ワールド』のグランプリやサバイバルなどの各ゲームモードを一通り遊び、スタッフロールを見て、オンラインマルチプレイやローカルでの対戦も行ったので、このゲームの主要なゲームモードは概ね体験しました。
私はこれまでに、前作であるマリオカート8(及びDX)やそれ以前のマリオカートもプレイしています。なので、過去のマリオカート シリーズの作品と比べた『マリオカート ワールド』の私の感想をレビューとして残しておきます。
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『マリオカート ワールド』はシリーズの"味変"ゲーム
8とワールドでは「マリオカート」のプレイ感覚が異なる

私が『マリオカート ワールド』をプレイして最初に感じたのは、マリオカート8とマリオカート ワールドはだいぶプレイ感覚が違うということです。
マリオカート8がこれまでのマリオカートシリーズの集大成と言えるような作品だったのに対して、『マリオカート ワールド』はこれまでのマリオカートシリーズの延長線上から少し外れた位置にあるゲームと言った印象でした。
言うなれば『マリオカート ワールド』はマリオカートシリーズの"味変"ゲームです。同じ素材を使いつつ味付けが異なっている感じです。
オープンワールド化が生んだ異なるプレイ感覚

『マリオカート ワールド』が発売される前までのマリオカートはコースはそれぞれ独立した存在となっていて、コース間を行き来することは出来ませんでした。
『マリオカート ワールド』はシリーズ初めてのオープンワールド化によってコースが独立した存在ではなく、一つの世界の中に複数のコースが地続きで存在し、コース間を行き来する事ができるようになりました。
コースとコースの間を行き来する事自体がレースの一部となっているので、『マリオカート ワールド』はコースを周回して順位を決める過去作とはプレイ感覚が大きく異なります。
『マリオカート ワールド』に周回コースが無いわけではないですが、多くの場合は同じコースをぐるぐる回らないので、プレイ感覚がサーキットレース風味からラリー風味に変わっています。
具体的に体験がどう変わっているのかというと、同じコースを周回しないので、設置系アイテムの効果が薄くなっています。また、周回遅れのキャラとも遭遇しないので前を走るほど、他のレーサーと競ってる感がなくなります。
周回しないコースでレース中ずっと1位だと、設置系アイテムや他のレーサーが目に入らないのでレースしてる感覚がどんどん薄れてきます。そうなると上手いプレイヤーほど単純にコースと向き合う時間が長くなります。
なので、マリオカート8以前のマリオカートは「レース」を、マリオカートワールドは「コース」を楽しむゲームという感じになってきます。実際コースの景観は素晴らしいのでツーリングしたくなる感覚は生まれます。
「レース」だけでなく「コース」を楽しめるかどうかが『マリオカート ワールド』を楽しむための鍵になると言えるでしょう。
なぜ本作は「つまらない」と言われるのか
『マリオカート ワールド』はAmazonなどのレビューを見ると概ね好評です。ですが、一部のプレイヤーからは「つまらない」と言われています。
私は実際にプレイした経験を踏まえ、そう言われてしまう原因を考えてみましたが、本作の最大の売りであるオープンワールド要素が足を引っ張っているように思います。
具体的には、コースとコース間の「道中コース」が直線ばかりになり単調だと感じることがあります。敵キャラクターを配置したり、ジャンプ台を設置したりして変化をつけるように工夫されていますが、それでも単調に感じます。
これまでのマリオカートはサーキットレースだったので、コーナーとドリフトが生み出す「緊張感」と「解放感」がありました。『マリオカート ワールド』の道中コースのように直線が多くカーブが少ないとそれが生み出せません。
道中コースをもっと楽しくしようと、もっとクネクネさせたりギミックに凝ってしまうと、今度は目的地の方向が分かりにくくなったり、コース間の移動に時間がかかってしまうため、道中コースにこだわることが難しいのでしょう。
直線を楽しむ方法として「レールスライド」や「ウォールラン」、「チャージジャンプ」などが用意されていますが、コーナーでのドリフトが好きだった人への答えになっているかと言われると正直微妙です。
壁とかレールとか、これまで走れなかったところを走れるという要素は面白くはあるんですが、レースをしているというより「曲芸」をしているという印象が強くなっている気がします。これは好みの分かれるところでしょう。
また、オープンワールド化して周回コースが減り、設置型アイテムの効果が薄くなり、周回遅れのキャラとぶつかったりもしないので、競ってる感や戦ってる感が薄まってるのも「つまらない」と言われる一つの要因でしょう。
もしかしたらマリオカートはオープンワールド化しても、周回するコースは維持した状態でコース間の移動は『ソニックレーシング クロスワールド』のようにワープにすべきだったかも知れません。
他にも『マリオカート ワールド』はオープンワールド化以外の変化として、レースに参加するドライバー数が12人から24人に増加しています。参加人数が増えているので全体的にわちゃわちゃした感じを受けます。
レース参加人数が増えたのもあって、レース中にアイテムで攻撃された際のリスクが増大しているように感じました。レースは大混戦というよりカオスで、アイテム運ゲーだと言われても仕方ありません。
実際に私が走ったあるレースでは、アイテムに被弾したせいで一気に2位から20位まで順位が下がったことがありました。人によってはこのような展開が続くと理不尽だと思うでしょう。
24人が走ってごちゃごちゃしているところも走る楽しさを奪っていると言えなくもありません。これらの要素が『マリオカート ワールド』はつまらない、面白くないと言われる要因になっているのではないでしょうか。
『マリオカート ワールド』で生まれた"競う"以外の面白さ

元々、マリオカートは間口が広いゲームでした。一人で遊ぶ人も、複数人で遊ぶ人も、オフラインで遊ぶ人も、オンラインで遊ぶ人も、ゲーム初心者でも、ベテランゲーマーでも楽しめる、対象範囲の広いゲームでした。
とはいえ、これまでのマリオカートはレースをするにせよバトルをするにせよ、結局は競ってばかりでした。タイムアタックモードですら過去の自分と競うわけですから、一人用のゲームモードであっても結局は競うゲームです。
これまで以上にマリオカート シリーズが間口を広げたい場合、「競うゲーム」の外側への拡大が必要になります。
マリオカートにプラスされた「コージーゲーム」要素
近年「コージーゲーム」の人気拡大というゲーム業界の潮流があります。簡単に言うと「コージーゲーム」とは挑戦や競争とは無縁で、リラックスしてプレイできるゲームのことを指します。
「コージー(Cozy)」は「居心地の良さ」を意味する言葉で、「コージーゲーム」は「居心地の良いゲーム」だ。弊誌でも過去に取り上げたことがあるが、近年話題に上がることが増えているジャンルで、ヒット作もいくつか登場している。
―― 今流行中の「コージーゲーム」って何?なぜ流行って、どういう歴史があるの?深堀りしてみた – AUTOMATON より
近年話題になりヒットしたコージーゲームはコロナ禍に発売された「あつまれ どうぶつの森」でしょう。あの時ほど、人々がゲームに癒やしを求めたことはありません。
この時期を境に、普段ゲームをやらない人がコージーゲームを遊び始めただけでなく、熟練ゲーマーにもコージーゲームの魅力が伝わったと思います。ゲームは「戦い」だけじゃないという認知が広がりました。
そんな流れの中で、『マリオカート ワールド』はマリオカートシリーズから「競うゲーム」という呪縛を取り払いました。つまり、勝負しなくても楽しめるマリオカートになりました。
「フリーラン」の実装により、これまで通行止めで走れなかったところをコースやタイムを気にすることなく自由に走れるようになりました。ミッション(Pスイッチ)や隠し要素もあるので、フィールドを探索する楽しみがあります。
また、フォトモードの実装により、風景やキャラクター、他のドライバーと記念撮影を楽しむ面白さも生まれました。広大な世界に様々なキャラクターがいるので、それらを背景に写真を取ることも出来ます。
なので『マリオカート ワールド』は競う楽しさだけでなく、競わない楽しさも実装された初めてのマリオカートと言えます。レース中は忙しくて聴き入れないBGMや作り込まれた風景もフリーランの時ならゆったりと楽しめます。
世の中、ゲームの中で競ったり争ったりすることを好まない人もいます。勝負する以外の面白さをマリオカートに入れることで、元々広かったマリオカートの間口が「コージー要素」で更に広がったように感じます。
もちろん、『マリオカート ワールド』の「サバイバル」モードもバトルロイヤルゲームのようで面白いですよ。競わない楽しさだけでなく、生き残りをかけたバトルも楽しめるのが本作の良いところだと言えます。
マリオカートの間口を広げた『マリオカート ワールド』は、まさにNintendo Switch 2で実装されたゲームチャットにうってつけのゲームと言えるでしょう。色んな趣味嗜好を持った人達を同時に引き付ける魅力があると思います。
これまでと少し違う『マリオカート ワールド』
以上が、私が『マリオカート ワールド』に実際にプレイしてのレビューとなります。これまでのマリオカートと少し違うので、私が『マリオカート ワールド』はシリーズの〝味変〟ゲームと言う理由も分かってもらえると思います。
『マリオカート ワールド』は各コースを周回するレースが中心だった過去作とは明確に異なる方向性を打ち出した任天堂の意欲作なので、本作を気に入る人と嫌う人の両方が生まれてくるのは納得の行く結果だと言えるでしょう。
幸い『マリオカート ワールド』を遊んで気に入らなくてもNintendo Switch 2はNintendo Switchのゲームを遊ぶことが出来るので「マリオカート8 デラックス」を遊べます。Switch 2では自分の好きなマリオカートを遊びましょう。



