音楽業界関係者に見せたいTED動画「“お願い”するということ」
日本は、音楽CDと有料配信などを合わせた売り上げが、世界で1位になったそうです。
CDと配信の売り上げが世界一! これは喜ばしいことなのでしょうか? 私はそうは思いません。
売り上げの内訳では、日本はCDやDVDなどが82%以上となっており、これは音楽の売り方が変化していないことを意味しています。
日本の音楽業界の実態
権利収入を含む日本の全売り上げは合計44億2200万ドル(1ドル=79.82円換算)。前年比4.0%増と、トップ5カ国では唯一のプラスとなった。そのうちパッケージが80%を占めており、有料配信は17%だった。
首位の米国は44億8180万ドルで0.5%減。パッケージが34%だったのに対し有料配信が58%と、日本に比べ配信の比率が高い。
日本の売り上げの比率:パッケージが80% 有料配信が17%
米国の売り上げの比率:パッケージが34% 有料配信が58%
世界各国と比較してもパッケージの売上比率が80%に達しているのは日本だけです。日本の音楽業界は未だにCDを売ることをビジネスの主軸としています。
曲を分けて購入することが出来ない媒体で売っているのですから、売り上げが高くなるのもある意味当然のことかもしれません。
なかなか新しい販売形態に日本の音楽業界が移行できない中で、音楽のビジネスの考え方をまるっきり変える衝撃のプレゼンテーションがTEDで公開されていましたので今回紹介します。
アマンダ・パーマー 「“お願い” するということ」
彼女はあることがキッカケで、自分の音楽は可能な限り無料でオンライン配信すると決めました。
では、どうやって音楽アーティストとして収益を得ているか気になりますよね?
その方法は、ファンに「お金を払ってください」(支えてください)と直接お願いすることです。彼女はライブの後、ファンからお金を集めています。実際にファンの前に立ち支援を募っています。
なんか、やっていることが「物乞い」みたいだなぁ、と感じる方もいると思います。
しかし、彼女はファンを全面的に信頼し、支援を頼むことでファンとより密接な関係を築くことが出来ると主張します。繋がりが出来ればみんな助けてくれるのだと訴えています。
Amanda Palmer: The new RECORD, ART BOOK, and TOUR by Amanda Palmer — Kickstarter
彼女は、音楽活動の資金を Kickstarter で募集し、目標を大きく上回る、音楽ジャンルでは史上最高額となる約120万ドルもの資金を集めました。他のアーティストでは達成できなかったことです。
彼女とファンを結ぶ信頼関係の絆が見えてきます。
経済の基本は「交換」です。
彼女はファンに音楽を提供し、ファンは彼女の活動を支える。
彼女とファンの中で交換が見事に成り立っています。
こういったことが成り立つ現実を見ていると、私たちは音楽CDが欲しいのではなく、音楽を通してアーティストと繋がりたいのだということをこのプレゼンテーションで改めて実感させられます。
どうやって音楽にお金を出させるか? ではなく、どうすればアーティストをお金で支えたくなるのか? を考える。日本でもこういった活動が盛んになるといいですね。
これからの日本の音楽業界を考える上で、魅力的な考え方だとは思いませんか?