ダークソウルはただの高難易度ゲームではなかった【感想・レビュー】

2020年3月30日ゲームレビューSteam,ゲーム,レビュー

著者: 今井 阿見

先日、Steamで遊んでいたゲーム「DARK SOULS REMASTERED」(ダークソウルリマスタード)をクリアしました。

もともと私はこのゲームを1ヶ月くらいでクリアするつもりでしたが、クリアするまでに3ヶ月近くかかってしまいました。ゲームのプレイ時間はゆうに100時間を超えています。

高難易度ゲームとして知られているダークソウルシリーズを私は初めてプレイしクリア出来ました。せっかく時間を掛けて遊んだゲームなので、私が実際にプレイして感じたことを書き残してみることにしました。

「DARK SOULS REMASTERED」感想・レビュー

DARK SOULS REMASTERED 発売ロンチトレーラー【2018.5】 – YouTube

ダークソウルを始めるに至った理由

私が言うまでもなくダークソウルは高難易度のゲームとして世界的に有名な作品です。ゲームが難しくてプレイ中に何度も死んでしまうことから「死にゲー」とも言われています。

『DARK SOULS』は世界で累計販売本数 2,500 万本を超えるほどの人気があり、その影響力は凄まじく「ソウルライク」と呼ばれるダークソウルのような高難易度ゲームのフォロワーを数々生み出してきました。

私もゲーマーの端くれですので、ダークソウルというゲームの存在は知っていました。しかし、これまでプレイするきっかけがありませんでした。興味はありましたがストレスが溜まりそうだったので遊んでいませんでした。

しかし、ダークソウルの開発元である「フロム・ソフトウェア」が発売した『SEKIRO』(隻狼)がThe Game Awards 2019の「Game of the Year」を受賞したことで気持ちが変わりました。

『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』は「ダークソウル」の流れを汲んだゲームです。ゲームとしての直接の繋がりはありませんが、高難易度であることは受け継がれています。

ダークソウルシリーズの開発元のフロム・ソフトウェアが権威ある賞を受賞したので、ゲーマーとしてフロム・ソフトウェアの高難易度ゲームは無視できない存在になりました。

そういった理由で私はフロム・ソフトウェアの高難易度ゲームの代名詞である「ダークソウル」のリマスター版を遊んでみることにしました。

ちなみにフロム・ソフトウェアのゲーム自体はVRゲームの「Déraciné」(デラシネ)を既に遊んでいるので初めてではありません。

「DARK SOULS REMASTERED」を実際に遊んだ感想

「ダークソウル」はネット上で『難しい』ことがよく言及されていましたので、私は「ダークソウル」を遊ぶ前からこのゲームが『難しい』ことを知っていました。

実際その通りだったのですが、プレイしてみてただ「難しい」だけのゲームではないと感じました。なので実際にダークソウルをプレイして分かった、難しさ以外の特徴を書いてみたいと思います。

「ダークソウル」にはマップがない

ダークソウルは3Dのフィールドを冒険するアクションRPGですが、このゲームには地図(マップ)がありません。全体マップもミニマップもありません。自分が向いている方位すら分かりません。

ゲームの中のステージ構造は立体的に入り組んでいるのにマップがないのは個人的には衝撃でした。最初はマップがないことに戸惑いました。しかし実際にゲーム内にマップが存在しないのは理にかなっています。

マップがないことでプレイヤーは画面上に映るフィールドに常に集中せざるを得ません。もしダークソウルのような高難易度ゲームで画面端にミニマップを表示しようものならマップを見ている間にプレイヤーが敵にやられかねません。

ダークソウルはゲームの一時停止ができるポーズ画面がありません。「よそ見=死」のリスクがある世界なので、よそ見を誘発しうるマップを表示しなかったのは考えられたゲームデザインとも言えます。

また、ステージが立体的に入り組んでいる上にゲーム内にマップがないことで、ゲーム内でショートカットが開通した時の驚きが大きくなっていました。

私はプレイ中に何度も「えっ、こことあそこのフィールドってここで繋がってたの!?」と驚きました。これは現実の世界で知らない土地を地図無しで散策している感覚に非常によく似ています。

マップがないことで発生するこの驚きが、まるで自分がそこを冒険しているかのような没入感を生み出しているように感じました。

死ぬことで発生するストレスのコントロールが秀逸

ダークソウルの死にゲーとしての特徴は難易度だけではなく、プレイヤーが死んだ時に感じるストレスのコントロールが見事なところです。

具体的には、プレイヤーが死ぬと死んだ場所にこれまで集めてきたソウルを落としてしまうシステムです。

ソウルはゲーム内でレベル上げや商品の購入に使用します。そのためソウルを失ってしまうことはプレイヤーにとって大きな痛手です。

以前死んでしまった場所へ行きソウルを回収できれば問題ないのですが、それが出来なければ「集めてきたソウル」は丸ごと失います。ソウルはどこかに預けるということも出来ないのでリスクを分散することもできません。

この死んだ場所にソウルを落としてしまうシステムが「2回連続で死んでしまう」ことのリスクを増大させています。

ダークソウルは初見殺しも多く、よく死ぬゲームですが、プレイヤーが学習して同じ死に方をしなければ落としたソウルを回収できるため、1度死んだだけの時に発生する損失は小さくなっています。

これを逆に言えば、プレイヤーが学習せず「連続で死んで」しまえばソウルが回収できなくなり難易度が増大します。このゲームデザインがプレイヤーの自己学習による成長を促しています。ゴリ押しは基本通用しません。

他にもストレスのコントロールの特徴として、プレイヤーがよく死ぬであろう『ボス戦』のストレスをあえて増やすようなゲームデザインが採用されています。

例えば、普通のゲームであればボス部屋の前にセーブポイントやリスポーン地点が用意されています。ところが、ダークソウルではボス部屋とリスポーン地点(篝火)は少し遠めに設定されています。(北の不死院以外)

リスポーン地点からボス部屋までの道中には殺されてしまうリスクがもちろんあります。そして、ボスにやられると『ボス部屋までの道中』を何度も繰り返さなくてはならなくなります。

ただでさえ距離があってストレスの溜まるボス部屋までの道中をプレイヤーは何度も繰り返したくありません。そのため、必然的にボス戦の緊張が高まり、同じ死に方をしないようにプレイヤーが努力するようになります。

この事がボスに殺された際のストレスを最大化し、なおかつ倒した際の達成感を最大化することに成功しています。

高難易度ゲームにピッタリの環境ストーリーテーリング

死にゲーと呼ばれるダークソウルにもストーリーのようなものはあります。しかし、その殆どが詳しい説明は一切されません。ムービーもありますが、カレーライスにおける福神漬け程度の量しかありません。

プレイヤーがしなければならない事はほのめかされますが、何故それをしなければならないのかは詳しく説明されず、主人公の気持ちも分からないままゲームは展開していきます。

プレイヤーはフィールドの状況やNPCの語り、敵キャラクターやアイテムの説明欄などで世界に何が起こったのか、今何が起きてるのか推察するしかありません。

ダークソウルは難易度が選べないゲームです。難しいゲームなのでゲームの進行スピードはプレイヤースキルに委ねられます。つまり、ゲームが上手い人は早く進み、下手な人はなかなか進みません。

なので、一般的なゲームと同じようにゲーム中にストーリーを組み込んでしまうと、人によっては「この人だれだっけ?」「話はどこまで進んだっけ?」という事になりかねません。

また難易度のせいでゲームが詰まれば「話の続きが気になるのに全然次に進めない!」ということも起こりえます。なので、多くを語らず「やらなければならないことだけをほのめかす」スタイルはゲームと合っています。

その上、暗く陰鬱で過酷なダークソウルの世界観は高難易度ゲームに見事にフィットしています。「世界の説明されなさ」はプレイヤーの不安を煽り、緊張感を高める効果を生み出していると言えるでしょう。

ゲーマーはとりあえず体験すべき「ダークソウル」

以上が、私が「DARK SOULS REMASTERED」(ダークソウルリマスタード)をプレイして感じたことを書き残した文章です。実際に遊んでみて高く評価される理由がよく分かりました。

私はダウンロード版のソフトを買ったため説明書がなく攻略情報もあまり見なかったのでクリアに無駄に時間がかかってしまいました。難しいゲームということは知っていましたが実際にやってみると「難しさ」以外の特徴も結構ありました。

攻略難易度は高く、ストレスも溜まりやすいゲームですが、非常に良く出来た作品です。ゲーマーなら“ソウルライク”という一つのゲームジャンルを作った「ダークソウル」を体験しておいて損はないでしょう。

DARK SOULS REMASTERED - Switch

DARK SOULS REMASTERED – Switch

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今井阿見

当ブログ『PLUS1WORLD』の記事執筆、編集、校正、プログラミング(一部)、管理を行っているのは今井阿見(いまいあみ)という個人のブロガーです。ブログは趣味と実益を兼ねて運営しています。

今井阿見は30年近くゲームを遊んでいるベテランのゲーマー。学生時代にゲーム作りや映像制作を行っていたので、ゲームだけでなく、映画やアニメなどの映像作品、スマートフォンやパソコン、ガジェットなどの分野にも深く関心があります。

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