視点を変えろ! 一人称錯視パズル「SUPERLIMINAL」感想・レビュー

2020年7月25日ゲームレビューNintendo Switch,ゲーム,レビュー

著者: 今井 阿見

今月、Nintendo SwitchやPS4、Xbox Oneなどで発売が開始された一人称視点の錯視パズルゲーム「SUPERLIMINAL」を2週間前にクリアしました。ちなみに私が購入したのはNintendo Switch版です。クリア時間は5時間程度。

発売から3週間以上経ちましたが、今ニンテンドーeショップを見てもダウンロード専用ソフトのランキング上位なので人気のあるゲームのようです。とはいえ個性の強いゲームなので購入するのを迷っている人も多いかもしれません。

なので「SUPERLIMINAL」をクリア済みの私がネタバレを少し含めながら「SUPERLIMINAL」(スーパーリミナル)をプレイした感想・レビューを書き残しておきたいと思います。

「SUPERLIMINAL」感想・レビュー

Superliminal Console Launch Trailer – YouTube

「SUPERLIMINAL」(スーパーリミナル)は公式トレーラー通り、一人称視点のパズルゲームです。遠近法や目の錯覚(錯視)を利用したパズルを解いていきます。

プレイ感覚は他の一人称視点パズルゲームに近い

本作は一人称視点のパズルゲームですが、同じタイプのゲームは「Portal」「The Talos Principle」などのゲームが既にあります。実際にプレイしてみて感じた「パズルを解いて進んでいく」感覚はそれらに近いものでした。

特に、パズルをクリアした後でエレベーターに乗り込んで別のフロア(ステージ)に移動して進んでいくところは「Portalシリーズ」に対するオマージュを感じさせました。ケーキが出てくるところも似てますね。

プレイ感覚は既にある一人称視点のパズルゲームに似ていますが、実際のパズルはそれらとは似て非なるものでした。パズルの解法が他の作品とは全く異なるため、既に「Portal」などを遊んでいても新鮮に感じられると思います。

錯視や遠近法のパズルだと思っていると痛い目にあう

「SUPERLIMINAL」の公式トレーラーを見ると一人称視点を使った錯視パズルであることが明かされていますが、実際に出てくるパズルはそういった視覚のトリックを用いたものばかりではありません。

ゲームが進んでいくと視覚ではなく心理トリックを使ったパズルが何度も出てきます。つまり錯視だけでは解けなくなるためプレイヤーは「視点を変える」ことをしなければ解けないパズルが出てきます。

出口から出られるとは限らないし、ドアには別の使い道があるかもしれない。パズルだと思っているものはパズルではないかもしれない。そのような柔軟な発想や思考の切り替えが要求されるので人によっては詰むかもしれません。

過去にゼルダシリーズなどで攻略情報を見なければダンジョンの仕掛けを解けなかったという人には「SUPERLIMINAL」をあまりおすすめできません。逆にゼルダシリーズの謎解きが好きだという人は楽しめる可能性が高いでしょう。

ストーリーのまとめ方が見事

「SUPERLIMINAL」のストーリーですが最初は夢の中でセラピーを受けているのかと思えば、アナウンスはどんどん変になり、周囲の世界もプレイヤーを混乱や困惑させるものに変わるので頭がおかしくなっていく感覚を味わえます。

ストーリーもパズルもプレイヤーを惑わせるものばかりですが、このゲームが伝えようとしているメッセージは「視点を変えろ」というものなので、結局はゲームとしては話もパズルも一本筋が通っています。

主人公を夢から覚醒させ現実に戻すストーリーなのかと思いきや、現実で問題に直面している私達プレイヤーの覚醒を促す話なのでストーリー自体が虚像のようなもの。クリア直後はプレイして良かったと感じる話のまとめ方でした。

ストーリーは最後にまとまりますが、ゲーム進行時には話が二転三転していくので、人によっては混乱して意味が分からないシナリオだったと感じてしまうかもしれません。万人向けではないシナリオですが刺激的な終わり方でした。

「SUPERLIMINAL」が合う人合わない人

「SUPERLIMINAL」は難しい操作は要求されませんが、パズルを解くために一人称視点で視線をキョロキョロ変えなくてはならないので人によっては酔いやすいかもしれません。

停電したステージがあり、周囲が暗くて恐怖心を煽られるのと、あたりが暗いせいでパズルを解くのに苦労することがあります。ゾンビやモンスターは出てきませんが、このホラー感が強いステージで脱落する人はいるでしょう。

他のゲームでは見られない独創的なパズルが楽しめますがボリュームが少ないのでプレイ時間は2~5時間程度でクリアできてしまうと思います。また、人をくったような世界観やストーリーも人によっては評価が分かれるでしょう。

これらを踏まえて以下に「SUPERLIMINAL」が合うと思う人、合わないと思う人をまとめるとこんな感じです。

「SUPERLIMINAL」が合う人

  • 主観視点でも酔わない人
  • 新感覚のパズルゲームが遊びたい人
  • 柔軟な考えや発想の転換が好きな人
  • 予想外なことが起きるのを楽しめる人
  • 1日でクリアできるボリュームのゲームでも不満のない人

「SUPERLIMINAL」が合わない人

  • 主観視点で酔う人
  • パズルが解けないとイライラする人
  • 頭が固く思い込みが強い人
  • ホラーっぽい要素が苦手な人
  • ゲームにボリュームを求めている人

傑作だが万人向けではない「SUPERLIMINAL」

以上が、私が「SUPERLIMINAL」(スーパーリミナル)をプレイした感想・レビューです。私個人としては本作は傑作だと感じました。クリア直後はカンヌ国際映画祭で絶賛されるタイプの映画を見たような気分になりました。

極めて個性的なゲームなので鳥肌が立ったと絶賛する人もいれば全く楽しめなかったという人も同時に出てくるでしょう。騙されたり欺かれたりするのが嫌いなタイプの人間はまず楽しめないと思います。

ただ単に楽しい気分になりたいだけなら世の中にはもっとエンタメよりなゲームがたくさんあるのでそちらを遊んだほうが良いでしょう。普通のゲームに飽きたので個性的な狂ったゲームをやりたいという人向けの作品です。

新 錯視図鑑:脳がだまされる奇妙な世界を楽しむ・解き明かす・つくりだす

新 錯視図鑑:脳がだまされる奇妙な世界を楽しむ・解き明かす・つくりだす

この記事を書いた人

著者(今井阿見)画像

今井阿見

当ブログ『PLUS1WORLD』の記事執筆、編集、校正、プログラミング(一部)、管理を行っているのは今井阿見(いまいあみ)という個人のブロガーです。ブログは趣味と実益を兼ねて運営しています。

今井阿見は30年近くゲームを遊んでいるベテランのゲーマー。学生時代にゲーム作りや映像制作を行っていたので、ゲームだけでなく、映画やアニメなどの映像作品、スマートフォンやパソコン、ガジェットなどの分野にも深く関心があります。

このブログ記事を気に入ったら著者(今井阿見)を応援して下さい! 励みになります!

著者Twitterアカウント 著者YouTube