『DEATH STRANDING』は「しんどい」ゲーム【感想・レビュー】

2019年11月19日ゲームレビューPS4,SF,ゲーム,レビュー

著者: 今井 阿見

サム「ひとりで配達しんどいよ…」

先日、PS4の新作ゲーム『DEATH STRANDING』(デス・ストランディング)をクリアしました。私はクリアまでに55時間ほどかかりました。

そろそろエンディングかな? というところから実際にゲームが終わりを迎えるまで5時間位かかったので、終盤はとても長く感じました。

私は最後まで楽しみながらゲームをプレイしましたが、このゲームに対する評価はネットで二分されています。私は「神ゲー」という評価も「つまらない」という評価もどちらも理解できます。

『DEATH STRANDING』(以下デススト)がどういったゲームなのか、ネタバレなしで書き残しておこうと思います。

『DEATH STRANDING』は「しんどい」ゲーム

「移動」を目的にしてしまったゲーム

このゲームの主人公であるサムはアメリカ再建のため荷物を目的地に届ける配達人です。荷物を運ぶ道中でプレイヤーを攻撃をしてくる敵はいますが、背負っている荷物が駄目になる可能性があるので配達中は基本的に戦闘は避けなくてはなりません。

他のRPGなどのゲームでもアイテムを運ぶミッションは珍しくありません。荷物を運ぶという内容でデスストをいわゆる「お使いゲー」だと思う人も多いでしょう。

しかし、デスストは荷物を届ける過程を他のゲームと比べて極端に難しくしています。そのため「アイテムを運ぶリスク」をひたすら増大させたゲームになっています。

荷物のせいで移動すらままならない

このゲームは他の3Dゲームと同様にフィールドの移動ができます。ですが、主人公のサムには「重心」があるため、急な方向転換や傾斜、強風で重心が崩れると簡単にバランスを失い、転倒します。

これに加え「慣性」もあるので、運ぶ荷物が重ければ重いほどサムを思い通りに動かせません。もう歩くだけでふらふらでバランスが簡単に崩れます。サムが転倒すればもちろん荷物が傷つきますし、斜面であれば荷物は下に転がり落ちていきます。

敵にボコられたりサムがコケたりすると荷物は簡単にポロリと落ちます。プレイヤーの成績は届けた荷物の状態で評価されるため、成績を上げたければ「荷物を傷つけない移動」を心がけなくてはなりません。

なので、ひたすら地形やルートに気を使いながら移動する必要があります。これまで様々なゲームをプレイしてきましたが下り坂がこんなに怖いゲームは初めてだと感じました。

そして、荷物を届けるというゲームの性質上一つ一つの配送依頼の完了には時間がかかります。これらのゲームルールの影響で、さっさと目的地に行って依頼を完了したい人にとっては「移動」そのものが苦痛に感じられることでしょう。

「移動」が目的のゲーム

通常、ゲームで移動は「手段」ですが、このゲームでは移動が「目的」となっています。

なぜ、「移動が目的のゲーム」であると断言できるのかというと、オープンワールドゲームでお馴染みの「ファストトラベル」で荷物を運ぶことができないからです。

すべての依頼の完了には「移動」が伴います。なので、プレイヤーは移動中にどう川を渡るのか、どう溝を越えるのか、どう坂を登るのか、ひたすら考えて動かなくてはなりません。「移動が目的のゲーム」というのはそういうことです。

「A地点からB地点まで行くゲーム」ではなく「A地点からB地点までどう上手く移動するか考えるゲーム」なので、何も考えずに目的地に向けてスティックを倒しているだけでは上手くいきません。

デスストはこういったゲームシステムなので他のゲームと比べて移動がめちゃくちゃしんどくなっています。

ストーリーもキャラクタも世界観も重くてしんどい

『DEATH STRANDING』(デス・ストランディング)はゲームのストーリーが硬派なSFで全体的な作品の雰囲気は重く暗いです。

人間の世界は滅亡しかかっており、人類の絶滅が危惧される中、主人公は人類存続のため1人でアメリカを横断し各都市を繋がなくてはなりません。

このゲームにはこのゲームでしか使われないような用語がたくさん出てきます。カイラル通信、UCA(アメリカ都市連合)、BRIDGES(ブリッジズ)、時雨(タイムフォール)、クリプトビオシス、対消滅(ヴォイドアウト)、オドラデグ、Qpid(キューピッド)、ビーチ、BT、BB(ブリッジベイビー)など、このゲーム専門の用語が盛りだくさんです。

これらの用語を拾いつつ、ストーリーを追わないといけないので、ゲームでムービーが始まるたび毎回しんどい思いをさせられます。

配達で削られる神経→専門用語満載の長いムービー→また配達…、の繰り返しなので緊張感のある状態がずっと続きます。意図的に休憩を入れないと長時間のプレイはきついでしょう。

ネタバレになってしまうので詳しくは書けませんが、ストーリーだけでなくゲームに登場するキャラクタも重いです。主人公を含めて個性豊かなキャラクタが多数出てきますが、どのキャラクタも悲しい過去や運命を背負っていて辛いです。

敵として出てくるキャラクタでえ情状酌量の余地がありそうな過去を抱えているので、敵と戦いながら「助けて! この苦しい世界から助けて!」という気分になりました。

サムが装備するBB(ブリッジベイビー)の存在も色々と辛いです。サムはいずれは廃棄処分する赤ちゃんなんだから入れ込むなと仲間に言われますが、そのたびにしんどい気持ちになりました。

サムは作中で時間が経つにつれBBに入れ込んでいくので、サムと心がシンクロしたプレイヤーはつらい思いをすること受け合いです。

しんどさを越えたところにある楽しさ

ゲームシステムもしんどい、ストーリーもしんどい、キャラクタもしんどい、しんどい尽くしのゲームですが、そのしんどさを乗り越えた先に「楽しめる世界」が待っています。

このゲームのしんどさに耐えられれば今までになかった最高のゲーム体験ができます。ですが、しんどさに耐えられない場合は苦痛だらけのクソゲーだと感じてしまうかも知れません。

デスストは例えるなら「登山」のようなゲームです。プレイヤーに簡単に達成感や充足感、満足感を与えてくれません。

このゲームを楽しむには時間的余裕、精神的余裕が必要です。作中のムービーが長い上に一つ一つのミッション達成に時間がかかります。忙しくて少ししか時間が取れない人はこのゲームを遊ぶのをおすすめできません。

心と時間に余裕を持った状態でデス・ストランディングを遊べば、他では味わえない面白さが待っているはずです。

「DEATH STRANDING」は前傾姿勢で楽しめ!

『DEATH STRANDING』(デス・ストランディング)はこの記事で説明してきた通り、色々としんどいゲームです。他のゲームと同じ感覚でプレイすると痛い目を見ます。

「このゲームはいつ自分を楽しませてくれるのだろう?」という受け身の姿勢でプレイしていると、楽しさよりもしんどさが先に訪れるのでゲームが一向に楽しくならないと思います。

デスストは「このゲームを楽しむぞ!」「アメリカは死なねぇ!!」「俺が世界をつなぐんだ!」といった前傾姿勢で挑むべきゲームです。そういった意気込みで挑めばゲームは応えてくれるはずです。

【PS4】DEATH STRANDING

【PS4】DEATH STRANDING

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今井阿見

当ブログ『PLUS1WORLD』の記事執筆、編集、校正、プログラミング(一部)、管理を行っているのは今井阿見(いまいあみ)という個人のブロガーです。ブログは趣味と実益を兼ねて運営しています。

今井阿見は30年近くゲームを遊んでいるベテランのゲーマー。学生時代にゲーム作りや映像制作を行っていたので、ゲームだけでなく、映画やアニメなどの映像作品、スマートフォンやパソコン、ガジェットなどの分野にも深く関心があります。

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