「漫画を描く」ことが、どういうことなのか分かる良書「漫画貧乏」
皆さん、こんにちは! 今井阿見です! 皆さん、漫画は読んでますか?
最近仕事上でのストレスが半端無くて、毎週月曜日のジャンプが心の拠り所となっています!
少し古い話題となりますが、先週は漫画でこんな話がありました。
漫画「進撃の巨人」で有名な諫山創(いさやま はじめ)先生のブログの記事です。
知り合いの漫画家の漫画が連載が開始される二日前になって、内容が有害図書指定に当たる可能性があるとのことで急に連載取り消しの判断が下されたようです。(詳しい話はリンク先でご確認ください)
「何ヶ月も前から無収入で作品を用意していたのに、酷いなぁ」とこの記事を読んだ時に思いましたが、先日読み終わった「漫画貧乏」によると、そんなことは漫画家界隈では日常茶飯事のようです。
漫画貧乏は漫画家の苦悩が分かる良書
「漫画貧乏」は「海猿」や「ブラックジャックによろしく」の著者で漫画家の佐藤秀峰(さとう しゅうほう)先生の著書です。
「漫画貧乏」の Kindle 版は無料でダウンロード出来、読むことが出来ます。私は Kindle 版で読みました。
この本で、漫画家がいかに身銭を切りながら、漫画を描いているかが分かります。
漫画業界には「連載貧乏」という恐ろしい言葉があります。
初めての週刊連載。
張り切って描いたはいいけど、人気が出ず半年で打ち切り。
残ったのは借金だけ。
こんな状況を指す言葉です。
―― 漫画貧乏 より
このように序盤からマンガ業界の辛辣な裏事情が掲載されていて、これから漫画家になろうと考えている人にとっては、目を覆いたくなるような凄惨な実情が載っています。
この本を読むことで、大好きな漫画を描くことで、お金を稼いで生活がしたい! そういった漫画家がもつ願いが困難なものであることが伝わってきます。
漫画を描くことで儲かるどころか、お金を失っていく、漫画家の姿が分かっていきます。
実際にかかった経費の内訳を見てみましょう。
まず原稿料80万円の内、源泉税が10%引かれた額が出版社から僕の口座に振り込まれます。
残りは72万円です。
当時は会社組織化しておらず、作画は一部を外部作画スタッフに委託していたので、その費用が月47万円で残りが25万円。
仕事中のスタッフの食事代は漫画家が支払うのが業界の慣例となっていて、その食費が約10万円で、残りが15万円。
画材代、資料代が約10万円で、残りが5万円。
自宅兼、仕事場として使っていたアパートの家賃が7万円で、残りがマイナス2万円。
さらに光熱費など諸経費が5万円で、残りマイナス7万円。
おおざっぱな数字ですが、なんと原稿料だけでは赤字でした。
この中に僕の生活費は一切含まれていません。
―― 漫画貧乏 より
悲惨ですね。
編集者は「単行本が出れば、印税が入るから問題ない」と説明するそうですが、そもそも連載開始時に出版契約は結ばれていないそうです。
つまり、単行本が発売される保証はないということ。
他にも、漫画を描くことで生まれる、数多くの苦悩がこの本には掲載されています。
この「漫画貧乏」を読んだ後、改めて先週の連載前に連載が中止となった話を聞くと、話の重みが変わってきます。漫画で食っていくことがどれだけ難しいか理解できます。
漫画家の実情を捉える読み物としても、とても面白いので時間のある方は是非 Kindle にダウンロードして読んでみてください。お勧めです!