今、日本人が見るべき映画かも知れない 映画「ゴジラ −1.0」感想

2023年11月14日映画感想SF,キャラクタ,レビュー,,戦争,日本,映画

著者: 今井 阿見

先週、映画館でゴジラ生誕70周年記念作品となる「ゴジラ-1.0」を見てきました。本当は公開初日に見に行きたかったのですが、公開日が3連休の頭ということもあって劇場が激混みだったので、人混みは避けたいのでやめました。

邦画の前作にあたる映画『シン・ゴジラ』がヒットしていたこともあってか公開初日は満席に近い状態でしたが、私が見に行った日は「ゴジラ-1.0」の映画公開から1週間後ということもあり映画館の座席は割と余裕がありました。

ゴジラというキャラクタが70年も同じ映画というコンテンツの中で健在なのはなかなかすごいことだと思います! まさに日本が世界に誇るキャラクタですね! 以下、ネタバレありの映画『ゴジラ −1.0』の感想とレビューです!

映画「ゴジラ −1.0」の感想・レビュー

【予告】映画『ゴジラ-1.0』《2023年11月3日劇場公開》 – YouTube

エンタメ映画としては満点に近い出来

映画「ゴジラ −1.0」を見終わって感じた映画全体の感想ですが、いい意味で捻った内容でなく直球のエンタメで来たなと感じました。普段映画をあまり見ない人にも内容が分かりやすく受け入れられやすいプロットでした。

映画は冒頭からちゃんとフックがあり、戦後や昭和を感じさせるルックも良く出来ていて、ストーリーは終盤までダレることなく、さらに主人公の葛藤や恐怖、気持ちの決着も誰にも分かりやすい形で見事に描ききっています。

集団とゴジラとの戦いを描き個人のドラマが薄かった「シン・ゴジラ」とは異なり、「ゴジラ −1.0」は主人公のドラマに焦点が当てられているので感情移入しやすく、主人公のゴジラに対する感情が伝わりやすくなっています。

CGやVFXの出来も素晴らしく、ハリウッド映画と比べても見劣りしないレベルなので、エンタメ映画として多くの人が満足できる映画に仕上がっていると思います。

ゴジラがちゃんと怖い

映画「ゴジラ −1.0」はタイトルの通りゴジラ映画なので、もちろん予告編通りゴジラが出てくるのですが、予告編を見て予測していた以上に登場するゴジラが恐ろしかったです。あまりの恐怖に、ホラー映画かよ! と思いました。

ゴジラが海面から頭を出して主人公たちが乗る船を追いかけるシーンや銀座で暴れて街を軽々と粉砕していくシーン、放射熱線を出す前の次々と青白く光る背びれが突き出るシーン、どのシーンもゴジラが畏怖べき存在に見えました。

映画序盤を除けば、ゴジラが暴れるシーンがだいたい昼間なのでゴジラがはっきり見えていますし、CGのゴジラに対してカメラが近くに寄るので人物の大きさとの対比でちゃんと巨大怪物としての怖さを表現出来ていました。

ゴジラ熱線放射後のキノコ雲や黒い雨、大量の瓦礫、ガイガーカウンターなど見る人が見ればちゃんと核兵器や放射能の脅威も描こうとしています。しかし大衆向けなだけあって表現は大人しめでした。ですが、一応評価しています。

リアリティがない部分もある

ここまで、映画「ゴジラ −1.0」を褒めてきましたが、欠点がない映画ではありません。まず、分かりやすさ優先の映画なので人物の描かれ方が浅薄です。いわゆるクサい演技が多く、映画を見る観客に解釈の幅を与えてくれません。

それぞれのシーンで観客を特定の感情に持っていこうとし過ぎているため、ここは怖がってほしいんだろうなとか、泣いてほしいんだろうなとか、映画に慣れている人ほど気持ちが冷めていくシーンが少なからずあります。

また映画内にツッコミどころがありリアリティがない箇所がいくつかあります。あの時代に敷島の乗る震電に射出座席(脱出装置)がつけられたのかとか、ガイガーカウンターで海中のゴジラを探知できるのかとか疑問です。

個人的には典子は最後死んでいたほうが、戦争映画としてのリアリティがあったと思います。ですが、「ゴジラ −1.0」は大衆に向けたエンタメ映画でSF映画で怪獣映画なので仕方ありません。いわゆる客層違いってやつですね。

今の日本と重なる部分がある

「ゴジラ −1.0」で描かれる世界は第二次大戦後(敗戦後)の日本なので旧日本軍(武装解除済)や自衛隊はもちろんありません。日米同盟が結ばれるのが1960年なので日米の安全保障における相互協力も期待できません。

また、アメリカはソ連を刺激したくないと理由で米軍を動かしてくれません。「シン・ゴジラ」ではゴジラの排除に協力的だったので、いざという時に米軍を頼りに出来ない恐怖は今の日本には馴染みがないかも知れません。

実際に現実の世界では今アメリカとロシアはウクライナを巡って対立しています。米はウクライナやイスラエルに軍事支援を行っている影響で武器弾薬が不足していると大統領も認めています。台湾有事もいつ起こるか分かりません。

アメリカに国の防衛を頼りきりな日本は米軍に頼ることに慣れていますが、米軍が常に頼れる存在であるとは限りません。「ゴジラ −1.0」に出てくる登場人物たちのように自分の国は自分で守るという基本を再考すべきでしょう。

「ゴジラ −1.0」見るか迷っているなら今見るべき!

以上が、ネタバレを含んだ映画「ゴジラ −1.0」の感想とレビューです。「シン・ゴジラ」と比較して楽しむのも面白いですし、日本映画の中でもCGやVFXが屈指の出来なので、邦画を応援したい気持ちがあるなら見ておくべきです!

現時点では、アメリカでは「ゴジラ −1.0」は公開されていませんが、東日本大震災を彷彿とさせた「シン・ゴジラ」とは異なり、「ゴジラ −1.0」は幅広い層にアピールできる要素があるので海外でもヒットするかも知れません。

ゴジラのような怪獣映画は映画館の迫力ある大きなスクリーンと立派な音響で見た方が良いです! 最大限楽しみたいなら配信を待つような野暮な真似はやめましょう。「ゴジラ −1.0」見るか迷っているなら今劇場で見るべきです!

小説版 ゴジラ-1.0 (ジャンプジェイブックスDIGITAL)

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今井阿見

当ブログ『PLUS1WORLD』の記事執筆、編集、校正、プログラミング(一部)、管理を行っているのは今井阿見(いまいあみ)という個人のブロガーです。ブログは趣味と実益を兼ねて運営しています。

今井阿見は30年近くゲームを遊んでいるベテランのゲーマー。学生時代にゲーム作りや映像制作を行っていたので、ゲームだけでなく、映画やアニメなどの映像作品、スマートフォンやパソコン、ガジェットなどの分野にも深く関心があります。

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