これで終わるのは嫌だ! 映画『007 スペクター』感想・レビュー
いよいよ明日から、映画『007 スペクター』が公開されます。私は先行上映されていた映画館で既に見てきました。
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今作はダニエル・クレイグ版007の4作目となります。この作品を最後にダニエル・クレイグはシリーズを降板するかもしれないと言われています。少し残念ですね。
以下、ネタバレありの映画『007 スペクター』感想およびレビューとなります。
映画『007 スペクター』感想・レビュー
「007 スペクター」のストーリー
少年時代を過ごした ”スカイフォール” で焼け残った写真を受け取ったボンド (ダニエル・クレイグ)。その写真に隠された謎に迫るべく、M (レイフ・ファインズ) の制止を振り切り単独でメキシコ、ローマへと赴く。そこでボンドは殺害された悪名高い犯罪者の元妻であるルチア・スキアラ (モニカ・ベルッチ) と出逢い、悪の組織スペクターの存在をつきとめる。
スペクター視聴前に前三作を見よう
まず、ダニエル・クレイグの最後の作品となるのではないかと言われているだけあって、ダニエル・クレイグ版007の過去の話がワンサカと出てきました。
前三作を見ていないと、誰の話をしているんだ? 何のことを言っているんだ? となること間違いありません。
よって、スペクターの視聴を考えている方は、前三作の「カジノ・ロワイヤル」「慰めの報酬」「スカイフォール」をスペクター視聴前に必ず見ておきましょう。見ておかないと半分も楽しめません!
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まだ見てない、前三作の内容を忘れてしまった、という方は、レンタルビデオ店で映画を借りるか、ネットで映画を配信している動画配信サービスなどを活用しましょう。
アバンタイトル・OPは完璧
映画『007 スペクター』のアバンタイトルはメキシコの「死者の日」という祭りを舞台にしています。
祭りの華やかな世界から、少しずつMI9の諜報活動へと移行していく長回しの一連のシーンの流れが素晴らしくて、ここだけでも何回か観たいなと思わせる出来でした。
アバンタイトルが終わるとタコがたくさん出てきます。真っ黒なタコです。
タコがジェームズ・ボンドやボンド・ガールに絡みまくります。これが今作「スペクター」のオープニングです。
葛飾北斎の浮世絵かよ! と突っ込みたくなるくらいタコが絡みついてました。
タコが人体に絡みまくる映像だけだとシュールなオープニングでしかないのですが、スペクターの主題歌「Writing’s On The Wall」と合わせるとカッコイイOPに仕上がっていました。
サム・スミスさんの『007 スペクター』の主題歌「ライティングス・オン・ザ・ウォール」は iTunesストアで販売されていて買うことが出来ます。なかなかの名曲です。
ストーリーが取って付けたような感じ
アバンタイトルとオープニングがすごいので、さぞかし素晴らしい名作映画となるのかと思いきや、肝心のストーリーが色々とアレでした。
見せたいシーンが先にあって、それに合わせてシナリオを考えたんじゃないかというような出来栄えでした。
例えば、列車内でジェームズ・ボンドと敵が乱闘や銃の発砲などをするのですが、列車は敵を排除した後もそのまま走り続けます。いや、おかしいから! あれだけの騒ぎがあったら普通列車止まるだろ! どういうことなの?
他にはボンドが父親に娘を守ると約束した割には、その女性を保護もすることなくあっさりと別れたりします。で、その後守ると約束した女性はあっさりと敵組織に拉致られ人質にされます。
ジェームズ・ボンドはその女性を助けるのですが、その展開に全然燃えない! 敵組織が壊滅するまでちゃんと保護してあげようよ! 守るって約束したじゃん!
守ると約束した女性とあっさり別れ、その女性がすぐに敵に拉致され、それを助けにいくというシーンにどうやったら感情移入出来るのか! 自業自得じゃないか!
007も拉致られますが、シナリオ上都合のいいところで、あっさりと自由になります。色々とストーリーがご都合主義過ぎるだろ……。
Qが大活躍
今回は007のドラえもん的存在のQが大活躍します。Q自身も映画本編に結構出てきます。
Qが作った改造済みのオメガの腕時計やボンド・カー無しには今回007はミッションを成し遂げることが出来なかったでしょう。
今作では人間によるスパイ活動が時代遅れとして描かれており、監視カメラやドローンなどを活用して情報を集め、国家を越えて情報を共有する高度なシステムが世界の新秩序として登場します。
そして「世界を監視をするシステムを誰が監視するのか」が今作のテーマとなっており、その新しい世界を監視するシステムが既にテロリストに乗っ取られていたという設定になっています。
そのシステムを停止させるのもQですし、実際007よりも仕事をしていると言えます。
この高度な情報化社会に007という人間中心のスパイ映画そのものが時代遅れとなりつつあることを示唆しているように感じました。
敵のボスがだんだん小物化する
悪の組織「スペクター」のボスは、ジェームズ・ボンドが幼かった頃の知り合いだったことがストーリーを進めていくと明らかになりますが、ストーリーが進めば進むほどボスの小物化がハンパないことになります。
初登場シーンはすげー大物感あるのに、実際の人物はかなり弱そう。よくこんな嫉妬にまみれたやつが「スペクター」という大きな組織を運営できたなと思わざるを得ません。周りの人間や従えてた人間のほうがよっぽど強そう。
映画終盤で逃走中のヘリを撃ち落とされ這い出て来るシーンはボスとしての威厳もクソもありません。最後は逃げきれないと悟り「自分を殺せ」と007に命じますが、「殺す価値もねーな」とスルーされるシーンは007とボスの格の違いを見せつけられました。
「スペクター」じゃなくて「スベッター」ですね。
スペクターが最後の作品とか嫌過ぎる
映画「007 スペクター」は出だしは素晴らしい映画なのに、作りこみが甘くて、全体的に雑すぎます。
これがダニエル・クレイグの007の最後の作品とかやめて欲しいです!
お金をかけて作っているだけあって何とか見れる映画となっていますが、名作と言うには程遠いと思います。画がいいから見ていられる映画という感じですね。
興行収入的にはいい結果を残しそうですが、もう少し何とかならなかったのかというのが正直な感想です。