所々つらい部分あるかも。映画『アリータ:バトル・エンジェル』感想
日本の漫画が原作のSF映画『アリータ:バトル・エンジェル』を観てきました。ちなみに私は原作の「銃夢」は所有しており最新刊も読んでます。
劇場は上映初日ということもあって混んでいました。原作は30年くらい前からある作品なので、見に来ている観客の年齢層は高めでした。
映画は思っていた以上に色々と言いたくなる作品だったので、以下にネタバレを含んだ『アリータ:バトル・エンジェル』の感想を書き残しておきます。
『アリータ:バトル・エンジェル』感想・レビュー
映画『アリータ:バトル・エンジェル』日本オリジナル予告【天使降臨】編60秒2月22日(金)劇場公開 – YouTube
映像とアクションは凄い
ジェームズ・キャメロンとロバート・ロドリゲスの2人が制作に関わっていることもあって映像美やCGへのこだわりを感じられました。お金がかかっていることは一目瞭然でした。
主人公のアリータの目が原作のガリィに近いくらい大きくなっていますが、私は違和感ありませんでした。多分見た人の8割くらいはすんなり受け入れられると思います。可愛いかどうかは別にして。
映画本編は序盤を除けばとにかく「機甲術」(パンツァークンスト)によるカッコいい格闘とサイボーグ同士のバトルの連続でアクションシーンは退屈することなく見れました。特にモーターボールの迫力がすごかったです。
私は3Dで映像を見ていませんが、作中でキャラクタや武器やボールが縦横無尽に動き回るので3D見たほうが面白かったかなと後から思いました。
ザレムはいいけどクズ鉄街が…
原作にも出てくる空中都市ザレムはほぼ見事にCGで再現されていました。コレに関しては文句ありません。
その一方でクズ鉄街(アイアンシティ)が割と楽しく暮らせそうな活気ある世界に描かれているのが少し違和感ありました。
原作のようにクズ鉄街はディストピアとして描かれていたほうがザレムとの対比にもなると思います。
そして、下の世界が殺伐としていたほうがヒューゴ(ユーゴ)が上の世界に憧れ、ザレムに行きたいという動機がはっきり伝わってくると思います。
映像としての美しさを優先したのかもしれませんが、クズ鉄街が荒廃したスラムっぽくないのは個人的には残念でした。
詰め込み過ぎなのは否めない
映画という短い枠(122分)に収めるため、この映画はかなりの無茶をしています。簡単に言えば2時間に詰め込みすぎです。
漫画原作3巻分くらいの内容を2時間という枠に詰め込んでしまったため、原作で描かれていた描写の3分の1くらいが抜け落ちているような感覚がありました。
私はそれでも楽しめましたが、人によっては細かな描写が足りていないことにストレスを感じるかもしれません。特に酒場のくだりは唐突な部分が多すぎます。
ストーリーの展開もとにかく早いため、登場人物たちに感情移入しにくいところがありました。チレンの心変わりは本当に謎です。
地球と火星の戦争の話が出てくるのに最後まで詳細が説明されないので原作未読の人にはナンノコッチャでつらいかもしれません。
原作と違う部分を楽しめるかどうか
原作の世界がかなり独特なものであるため、映画化に当たって様々な部分が変更されています。邦題が「銃夢」じゃない時点で、事前に色々と察してはいましたが、思ってた以上に変わってました。
ジャシュガンがマッチョさ(ゴツさ)が足りない白人キャラになってたり、ユーゴがイケメンで爽やかな好青年キャラになってたり、デッキマンがメタリックになってたりと変更点は様々です。
チレンはむっちゃ考えがふわふわしてる謎の女として登場するなら無理に出さなくてもよかったのではと感じました。
ノヴァ教授が全ての黒幕のように描かれていますが、どうせならノヴァ教授は映画の最後まで声だけの出演のほうがもっと黒幕感あったかもしれません。少なくともメガネは取らないほうが個人的にはよかったと思います。
イドの雰囲気だけは原作っぽさが残っていたので安心しました。あと犬のハンターの扱いには笑いました。生類憐れみの令だね。仕方ないね。
原作の100%再現を求めなければ傑作
なんだかんだと文句や思うところをここまで書いてきましたが、私は劇場でこの映画を楽しみました。映画の出来には全体的には満足しています。しかし人によっては「面白くない」という意見が出てもおかしくないと思います。
私は映画『アリータ:バトル・エンジェル』を原作物というよりも、スピンオフ作品を見に行くような気分で鑑賞したため、作品に登場する様々な原作との違いにストレスを感じなかったのかもしれません。
元々万人受けする漫画ではない『銃夢』という作品にキャメロンが惚れ込んでくれたおかげでハリウッド映画化できたようなものなので、この奇跡の産物の誕生を心から喜びたいと思います。続編があるなら見たいですね。