映画にも勝る面白さ「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」感想
2023年5月2日、5日前に公開されたばかりの映画である「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」を映画館で見てきました。ゴールデンウィーク中の混雑を避けたかったので朝一で見ましたが、それでも人は入っていました。
日本国外での映画の公開は3週間も前から行われていて、既に興行収入が10億ドルを突破するなど世界的な大ヒット映画となっています。公開前は映画評論家からの評価があまり良くなかったのでヒットして良かったなと思います。
私はゲーマーなので任天堂のゲームはもちろん遊んだことがありますし、マリオの映画なので見るのを楽しみにしてました。以下は、ネタバレを含んだ映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」感想・レビューです。
「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」感想
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』最終トレーラー(吹替版) – YouTube
マリオや任天堂のゲームを知っているほど楽しめる
映画は予告編も様々な要素が盛だくさんといった感じですが、本編はそれ以上に盛だくさんでした。過去のマリオシリーズ、マリオ関連作品、任天堂のゲームが映画の至る所に次々と出てきます。
マリオだけでも原作通りスーパーキノコで大きくなるだけでなく、マントマリオ、マメマリオ、ネコマリオ、たぬきマリオと幅広い変身をしますし、最後にスターを取って無敵になるのも「待ってました!」という感じでした。
海中でウツボにやられるのはマリオ64でのトラウマを想起させますし、死にたがりのチコはマリオギャラクシーを思い出させますし、シルクハットを被ってピーチと結婚したがるクッパはマリオオデッセイを彷彿とさせます!
ルイージの臆病ムーブはルイージマンションさながらですし、ドンキーコング登場シーンではドンキーコング64のDKラップかかってますし、カートに乗って虹の上を重力を無視して走るのはマリオカート8そのまんまです。
マリオ関連作品だけでなく任天堂のゲームのレッキングクルー、バルーンファイト、新光神話パルテナの鏡なども作中に出てきています。他にも何か出ていると思いますがネタ満載すぎて1回見ただけなので見逃していると思います。
私は任天堂のハードは小学生の頃から所有してゲームを遊んでいるので、過去の楽しかった思い出が色々と蘇りました。そういった理由で、この映画は任天堂ファンやマリオ好きにとって「映画にも勝る面白さ」があると感じました。
マリオがただのヒーローとして描かれてなくてよかった
映画の主人公といえば、世界を救ったり問題を解決したりするヒーローとして描かれることが多いです。特に大作映画になればなるほどそういった傾向が顕著になります。
この映画でもマリオはクッパを倒しキノコ王国を救うので、マリオのヒーロー的側面が描かれています。しかし、それだけではありませんでした。
マリオは元々「配管工」という設定がゲーム原作にはありましたが、その設定はゲームの方ではほとんど活かされることはありませんでした。マリオが配管工として活躍するゲームがないのがその証拠とも言えます。
ゲームの方のマリオは何故だか分からないけどキノコ王国に住んでいて、色んな危機を救ってて、ゴルフしたりテニスしたりする生業がよく分からないおじさんという本来のレゾンデートルを失ったキャラクタになっていました。
しかし、今回の映画ではきっちりと配管工として描かれているマリオ兄弟を見る事が出来、マリオが長年失っていたアイデンティティを取り戻した感じがしました。
また、マリオとルイージの兄弟の絆が映画を通して描かれていました。ただ単にマリオだけが活躍するだけの映画だったら終盤の感動は起きなかったと思います。兄弟両方が活躍してこその「マリオブラザーズ」でしょう。
マリオブラザーズがただのヒーローではなく、お互いを信頼し合った配管工の兄弟として描かれているのが素晴らしかったです。ゲームではマリオの日常やアイデンティティは描きにくいので映画だからこそ出来たとも言えます。
映画のシナリオとしては破綻している
個人的に「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」はゲーム原作の映像化として完璧に近い出来だと思います。しかし、これを映画として評価するとシナリオが完全に破綻しているため映画評論家からの評価が低いのも頷けます。
例えば、ピーチ姫がマリオ達とともにジャングル王国に交渉に行くシーンでは行きは歩いて移動しているのに帰り道になって突然カートでの移動になります。
キノコ王国防衛のためさっさと同盟の交渉を終わらせて急いで帰りたいなら初めから土管やカートなどのもっと早く移動できる手段を使うべきです。行きでのんびり歩いている場合ではありません。
また、キノコ王国とジャングル王国の同盟締結のためにマリオとドンキーコングが戦う理由がありません。クッパという大魔王がジャングル王国に攻めてくる可能性があるのに同盟を組む前に互いを傷つけ合うのは完全に無駄です。
そして、同盟を結んだ後もジャングル王国のコング・アーミーはキノコ王国の防衛に役に立ったとは言えず、ピーチ姫一行がジャングル王国に向かったのは殆ど無意味だったと言わざるを得ません。
キノコ王国とジャングル王国の往来はマリオシリーズやドンキーコングシリーズ、マリオカートシリーズなどの描写のために必要だっただけでストーリー上必要だったかと言われると首を縦に振れないでしょう。
ストーリーの最後でマリオとルイージはキノコ王国に移住していますが、彼らがキノコ王国に移住する理由がありません。マリオ兄弟は映画の終盤でブルックリンの住人にようやく認められたにも関わらずそれを捨てています。
マリオに至っては映画の中できのこが嫌いという描写があるにも関わらず、何故かきのこだらけのキノコ王国に移住しています。意味が分かりません。映画のシナリオとしては完全に破綻しています。
なのに、なぜこの映画が成り立っているのかというと既に多くの人がマリオシリーズを知っていて、マリオがキノコ王国に住んでいるのを知っているから成立しているだけです。
マリオの知識ゼロでこの映画を見ると狂った意味不明アニメーション映画にしかなりません。ストーリー展開、キャラクターの行動・描写に説得力が皆無です。
お金のない家族経営の2人しかいない配管工事屋がテレビCMを出してたり、クッパからピーチ姫を守ろうとするキノピオが1人しかいなかったり(城のキノピオ兵は何だったんだ?)とか、深く考えたらおかしい所だらけでしょう。
今作は映画として評価すると駄目かも知れませんが、世界一知名度の高いゲームキャラクターの映画化なので映画ではなくゲームの映像作品として評価すべきだと思います。実際に多くの人が楽しんでいる訳ですからね。
多くの観客は映画を「楽しめたかどうか」で映画の価値を判断しています。映画評論家のように「人間が描けているか」とか「シナリオに矛盾がないか」とか気にしていません。映画評論家にこの映画は評価不可能だと思います。
クッパの異常性が際立っている
「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」はもちろんマリオブラザーズが主役ですが、シリーズ通しての悪役であるクッパも今作の随所に出てきます。むしろゲームで描かれるクッパよりも生き生きした感じが出ています。
映画のクッパは表情豊かでピアノ弾いてピーチへの愛を歌っています。自分は亀の親分なのに、人間のピーチ姫に結婚を申し込むぜ! 断られたら全てを破壊するぜ! と宣言するので、クッパの狂ってる感がゲームより上でした。
ゲームのクッパはただ単にピーチ姫をさらっていく事が多いので、台詞が多くてクッパのピーチに対する感情が描かれまくる今作の映画ではクッパの異常さが際立っていました。付き合わされるカメックが可愛そうですね。
マリオが好きなら映画館にヒアウィーゴー!
以上が、ネタバレを含んだ映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」感想・レビューです。私は劇場で入場特典を貰いました。マリオのファンで特典が欲しい人は、配布が終わってしまう前に急いで映画館に向かいましょう。
映画の最後には続編を匂わせている描写がありました。しかし、終わり方がハリウッドのゴジラ(エメリッヒ版)にそっくりだったので何かの皮肉かと思いました。もし続編があるのなら次はヨッシーの活躍の機会がありそうです。
もし今、ゴールデンウィークに見に行く映画を迷っているなら、マリオの映画を見に行く事をおすすめします。映画は後から見る事が出来ても映画上映前の任天堂のCMを映画館で見る機会は二度と訪れないかも知れませんよ。
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